【書評】『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと 』さとう みつろう 著

はじめに

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著を読みましたので、書評を記事にしたいと思います。

昨今、人生で生きづらさを感じる場面が多いように感じます。

書店の売り上げランキングコーナーには、数年、もしくはそれ以上前から、20代のうちにしなければいけない30のこと、新入社員がすべき10のことなどの〜しなければならないこと〜すべきといったプレッシャーを感じるような強い表現が使われている書籍が目立ちます。

このようなタイトルの書籍を購入する人は、将来の不安感を解消するために何かしないといけないと感じるが何をしたら良いか分からない!
だから、この本に書いてあることをやってみよう!との思いがあるのではないでしょうか。

しかし、本を読み進めるうちに、めんどくさく感じたり、本当に自分に効果があるのか、という思いが芽生え始めます。

そして、初めに抱いた「将来の不安感」も次第に薄れ、本を最後まで読み切ることなく、結局何か新しく行動することもなく、これまでと同じ生活を続けるのではないでしょうか。

そして、残念なことに、数年の時間が経つと、同僚との居酒屋の話やご近所さんとの井戸端会議の会話をきっかけに、「自分も何かしなければ」という思いになり、また再び本を購入するのではないでしょうか。
(この時には、自分が違うターゲット層に属しているので、別の本を買うことになり、出版業界は同じ書籍でも利益を出せる)

しかし、行動を起こさないので、結局現実は変わらず、同じような日々を過ごすことを繰り返してしまう。こんな人が多いのではないでしょうか。

書籍

紹介する本は、ワニブックス 社『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと 』さとう みつろう 著です。2015年6月に出版されています。

他の書籍でも似たようなタイトルを見ますが、唯一違う点としては、やるべきことがたった1つしかないということです。

例えば、20代のうちにすべき30のこと、のような書籍があった時、30個のうちどれに取り組もうかな、と考えているうちに実践しなくなったり、気持ちが途絶えてしまうこともあるでしょう。

しかし、この本はたった1つなので、やる or やらない の2択です。

とてもシンプルですので、前向きな気持ちに取り組んでしまえば、簡単に達成できます。

著者について、簡単に説明します。

さとうみつろう

札幌の大学を卒業後、エネルギー系の大企業に入社し、現代社会が抱える矛盾点に気づき思い悩む。2011年「社会を変えるためには、1人ひとりの意識の革新が必要だ」と痛感し、“読むだけで魂が目覚める”文章を目標に、ブログ『笑えるスピリチュアル』を立ち上げる。開始と同時に「笑えて、泣けて、大きく気づける」とブログは大評判となり、各種人気ランキングで1位となる。2014年 読者や周囲の声に応える形でサラリーマンを引退し、全国各地でトークショー&ピアノライブを開催し、大勢の人に「笑いと勇気」を届け続けている。那覇市在住の、子煩悩なパパでもある。

https://www.njg.co.jp/book/9784534057785/

札幌出身で、現在は、沖縄住みのようです。自由な生活をされている印象を受けました。

書評

それでは、書評に入りたいと思います。

著者は、まず初めに、「やっておくべきこと」や「やらなければイケナイこと」は人生にないと主張しています。

そして、タイトルにもある通り、唯一人生でやっておくべきこと、それは、

「やりたいこと」だけ

であると述べています。

本書では、ただただこの「やりたいこと」の1点のみについて書かれています。

しかし、そんなに簡単に「やりたいこと」が見つからないこともあるでしょう。
どのように「やりたいこと」を見つけるか、著者がやりたいことの見つけ方を提案しています。

やりたいことの見つけ方

それは、日常の自分を振り返って、嬉しいこと嫌だなあと感じることを書き出すこと。

そして、これを7日間続けることを推奨しています。この7日間は、1種間で連続してやり切る必要がなく、土日や月末など日々の生活に変化のある日を選ぶと良いそうです。

この嬉しいことと嫌だなあと感じるリストから、「やりたいこと」を見つける方法を2つ紹介しています。

  • 嬉しいことをそのまま書く
  • 嫌だなあと思うことの反対のことを〜したいという形式で書く

これで、自分自身が「やりたいこと」を抽出できます。

嬉しいことは、近所の人から挨拶されて気持ち良かった、ショッピングしたら店員さんに着ている服を褒められた、いつもより料理が上手くできた、など少しでも自分が嬉しいと感じたことをメモしていきます。

同じように、会社でダメ出しされた、家族と喧嘩した、毎日お風呂掃除することがめんどくさい、など、少しでも嫌だと感じたこともリストにしていきます。

土日や月末など、様々なシーンを選ぶことで、仕事や家庭だけでなく、趣味や旧友とのお出かけなど、振り返るシーンをできるだけ自分の人生で起こりうるシーンまで広げることができると思います。

嬉しいと嫌だなあ

ここで、嬉しいと嫌だなという気持ちについて、補足します。

人が感じる嬉しいとは、どのような時に感じるものなのでしょうか。

著者は次のように述べています。

「嬉しいなぁ」と感じるのは、あなたの「やりたいこと」と「やれていること」が一致しているからです。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p24

確かに、やりたいことが思うように進んでいたり、完成に向けて進んでいるときは熱中して時間が経つことも忘れますし、幸せな時間だと感じますね。

一方、嫌だなと思うことについて、次のように述べています。

「やりたいこと」と、「違うこと」をしているから、「嫌だなぁ」と思うわけです。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p22

これは、当然ですね。人間、誰しも自分のやりたくないことをしている時間は、嫌だなあ、退屈だなあ、早く仕事終わらないかなあ(=やりたいことが出来る時間にならないかなあ)と感じますね。

つまり、著者は、「やりたいこと」と「していること」のベクトルが一致しているかどうかで、嬉しいか嫌だと感じるかを分析できると言っています。

したがって、自分の「やりたいこと」と「していること」を深掘りすることで、どうやって「やりたいこと」を増やして「やりたくないこと」を減らすかについてのヒントが隠されていそうです。

やりたいのになぜできないのか

嬉しいことと嫌だなあと感じることを抽出したリストには、自分が潜在的に感じていることや日々ふとした時に思ったことなどが、リストアップされていると思います。

しかし、この見覚えがあったり過去に一度は意識した「やりたいこと」が、なぜ今できていないのか。

それは、「やりたいこと」をやるための環境や資源が今はまだないから、と述べています。

「やりたいこと」をやるための環境や資源が「今はまだナイ」からです。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p86

本当は、会社に行かずに朝寝ていたいが、遅刻できる環境にない(会社を辞めて生活できるお金がない)から、寝ていることができない、と言った具合です。

ここで、整理すると、もともと「やりたいこと」をやるために仕方がなく、我慢して「やりたくない」ことをしている状態になっていると捉えられます。

著者の言葉で言えば、

今はまだ「ナイもの」を先に手に入れるために、「〇〇しなければイケナイ」という義務感と「〇〇してはイケナイ」という我慢を、人類は背負い込んでしまった。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p106,107

ということです。

しかし、ここで重要なことは、本当に「やりたいこと」をやるために必要だと思っていた「やりたくないこと」は必要ではないということです。

実は、この義務感は、自分自身で作っていた思い込みで、「やりたいこと」をやるには、もっと自由な発想で「やりたいこと」だけをやることが必要だということです。

自分が過去の経験や両親や学校の先生からの教育によって、無意識にやらないといけないと感じていたものは、すべて自分の思い込みだというのです。

義務感を解消するためには

では、この「やりたいこと」をやらずに「やりたくないこと」を先にややなければいけないという思い込みを消すためにどうすれば良いのか。

著者は、次のような方法を提案しています。

やり方は、「〜をしてもイーとしたら、どうする?」と自分自身に質問するだけ。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p170

例えば、貧乏でも良いと考えれば、毎朝会社に行く必要もありませんし、朝早く起きる必要も、翌日の出社時間に合わせて前日に早く寝る必要も無くなります。

この状態担った自分を想像して、その時に何が「やりたいこと」なのかを考えることで、思い込みで自分が作っていた義務感を解消することができます。

人が感じやすい義務感

著者は、人類の多くに共通する義務感として、次の8つを挙げています。

1.お金を得ないとイケナイ
2.健康にならないとイケナイ
3.生き残らないとイケナイ
4.社会的地位を得ないとイケナイ
5.仲間意識を守らないとイケナイ
6.結婚しないとイケナイ
7.夢がナイとイケナイ
8.幸せにならないとイケナイ

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p188,189

いかがでしょうか。これまで自分で勝手にしないとイケナイと考えていたことの多くが当てはまるのではないでしょうか。

義務感の根本

そして、著者は8つ目の思い込みに対して、次のようにも述べています。

もしも、幸せにならないでもイーとしたら、どうする?

起こる出来事の全てを許すことができるようになる

「幸せにならないとイケナイ」と勝手に思い込んだのは、実は、あなたです。
そして、これこそが、全ての苦しみを生んだのです。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p206,208

「幸せにならないとイケナイ」と勝手に思い込んだのは、実は、あなた」という言葉には、ハッとさせられた人も多いのではないでしょうか。

いつからか思い出せないうちから、勝手に幸せにならなくては、という義務感を感じるようになってしまって人が多いように感じます。

本来は、幸せになりたいという願望の気持ちであるはずが、幸せにならなくてはという義務感となり、自分自身にプレッシャーをかけて、生きづらさを自分で自分に感じさせていることに気付くことができるのではないでしょうか。

著者は最後に、こう述べています。

幸せに、ならなくてもいいとしたら、どうする?

これほど、幸せなことはないよ。

『あなたが人生でやっておくべき、たった1つのこと  』さとう みつろう 著 p211-213

と。

これまであまりにも当たり前だと信じきって考えたことがない、「幸せにならなくてもいい」という考え

この本を読むまで、その観点で考えることすらなく、幸せにならなくても良いことの賛否は一旦横に置いておき、一度は考えてみると自分自身が作っていた思い込みや義務感、そして、それらによるプレッシャーや生きづらさに気付くことができるかもしれません。

要点

最後に要点をまとめます。

  • 〇〇しないとイケナイことの全ては、人間の思い込み
  • 全ての義務感から解放する
  • 完全に義務感から解放されるためには、幸せにならないとイケナイという思い込みを解除する
  • 「やりたいこと」をやれている状態=幸せ、が幸せの定義

日頃感じる〇〇しないといけないという義務感は、実は自分自身が作っていたものであり、まずはその義務感を解放する必要があること。

義務感を解放するには、「〜してもイーとしたら、どうするか?」という観点で、自分自身の本当のやりたいことを抽出する。

そして、世の中にやらなければならないことは1つも無いということを意識して、やりたいことをすぐに始める

これにより、やりたいことを出来ている幸せな状態を作ることが出来る。

上手くいかなくても、「もしも幸せにならなくても良いとした?」という視点で物事を俯瞰的に捉えると、ずっと楽に生活できる

まとめ

「やりたいことだけやる」というたった1つのすべきことについて、その考えになった背景や邪魔する考え、そして、それを実現するための手段について書かれており、広く浅く触れる他書籍と比較して学びの多い本だと感じました。

特に、「幸せにならなければイケナイ」という根底の義務感から、様々な義務感が雪だるま式に増えて、数多くの義務感を背負って生活してしまい、必要以上に精神的に疲弊しているのでは無いかと考え直すことができました。

要点でまとめたことを意識して、日々の生活を意識し直してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

話し口調で書かれており読みやすく、書籍には、義務感やその解決方法となる考え方の具体例や書き込み式ページがたくさん用意されています。
興味がある方はぜひ読んで見てください。

▼購入リンク▼

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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